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化石賞?石炭火力発電になぜこだわるのでしょうか?

石炭火力発電所、大気汚染、CO2

2019年12月2日、国連気候変動枠組条約第25回締約国会議(通称COP25(25は回数))がスペインのマドリードで始まりました。

世界の環境団体でつくる「気候行動ネットワーク」は、地球温暖化対策に後ろ向きな姿勢を示した国に贈る「化石賞」に日本など三カ国を選んだと発表した。

温室効果ガスの排出源となっている「石炭火力発電」を継続する姿勢の日本に対し世界から風当りが強くなっています。

日本はなぜ石炭火力発電にこだわるのでしょうか?
そして、何が問題なのでしょうか?

日本はなぜ石炭火力発電にこだわるのか?

世界が地球温暖化を止めるため脱炭素社会へと声高に言っているのに、炭素そのものである石炭をエネルギー源とする石炭火力発電所を日本は作っていっています。
むしろ推進しています。
(「世界中が声高に」は少し語弊があります。環境は大事だけれどそんなことを言ってられない発展途上国もあります。)

日本は発電のエネルギー源となる燃料をほぼ100パーセント海外からの輸入に頼っています。

電気は今や国や社会、国民の生活を支えるために欠かせないものです。

日本はなぜ石炭火力発電にこだわるのか?
それは、電気を得るためのエネルギー源として石炭が、最も安定的に供給される、しかも経済性の面においても優れた燃料だからです。

石炭は、供給や経済性の面で優れたエネルギー源です。

火力発電は主に、石油、天然ガス、石炭などの化石燃料をエネルギー源にしています。
石炭火力発電は、文字どおり石炭をエネルギー源とした火力発電です。

日本は発電のエネルギー源をほぼ100パーセント海外に頼っています。
だからこのエネルー源は、安定的に、より安く供給されることが日本にとっていいことです。

ただ、供給の側面それだけではなく、
環境面への影響とか安全性といったさまざまな側面を満たすことが求められますが、
しかし、たくさんあるエネルギー源にはそれぞれに長所もあり短所もさまざまです。

中でも石炭は、供給や経済性の面で優れたエネルギー源です。

他の化石燃料(石油など)に比べて長い年数の間、採掘できます。
また、存在している地域も世界的に分散しています。

産業経済省資源エネルギー庁 HPより

世界には政情が不安定な国や地域、主義主張の異なる国などさまざまな地域があります。
石炭は他の化石燃料に比べて安定的な供給が期待できるのです。
現在は、オーストラリアやインドネシアからの輸入が多いようです。

また、原油やLNGガスにくらべて価格は低めで安定しており、LNGガスを使った火力発電よりも、低い燃料費で発電できます。

経済産業省資源エネルギー庁 HPより

 

技術革新により石炭火力発電は、クリーンになっています。

エネルギーを選択する側面の一つに環境面への影響があります。

その昔、黒いダイヤと呼ばれてたた石炭のイメージでいけば、
燃やせば真っ黒の煙がモクモクと発生し、私たちの体には相当よくないようにも思います。

地球温暖化は、その原因とされるCO2排出問題が大きな課題です。
化石燃料である石炭は、その環境面での課題があります。
しかも、CO2排出量はほかの化石燃料に比べても多いのです。

石炭を火力発電のエネルギー源として利用するためにはこの環境面での課題を克服する色々な技術開発が必要です。

このことについては、資源エネルギー庁のHPによりますと、
石炭火力発電の技術開発が進められているようです。

最近の石炭火力発電は、環境にかける負荷がずいぶんと減ってきています。
たとえば、横浜市にある磯子石炭火力発電所は、
「クリーンコール技術」とよばれる技術を活用し、
大気汚染物質の排出を大幅に削減しています。

2002年のリプレース(建て替え)前に比べると、
窒素酸化物(NOx)は92%、
硫黄酸化物(Sox)は83%、
粒子状物質(PM)は90% 減っています。

このように新しい石炭火力発電所は古い石炭火力発電所に比べ大幅に環境面への影響を減らすことができるのです。

日本の世界に誇る技術力です。

世界中の旧式の石炭火力発電所を最新鋭の設備に置き換えると
日本で商用化されている最高効率の技術(USC:超々臨界圧)を、中国やインドといったアジアの国々とアメリカの石炭火力発電に導入すれば、CO2削減効果は約12億トン(11.8億トン)にのぼるという試算があります。
この数字は、日本全体のCO2排出量(約13億トン)にほぼ匹敵する規模です。
(資源エネルギー庁HP)

問題はそれでも石炭火力のCO2排出量です。

石炭を燃やすと、やはり化石燃料の中でも一番多くCO2を排出します。

最新鋭の最高効率の技術(USC:超々臨界圧発電方式)でも、天然ガス火力発電(LNG)の約2倍です。
高効率でクリーンと言われている発電設備 (IGCC:石炭ガス化複合発電)でも石油火力と同じぐらいのCO2排出量です。

従来型の石炭火力発電設備より、技術革新によりCO2排出量は各段によくなっていますが、比較的CO2排出量が少ないといわれている天然ガス火力発電(LNG)には及ばないのです。

ここが課題です。

世界の火力発電のCO2排出量を比較した図です。

(出典)電⼒中央研究所報告書(2016)や各研究事業の開発目標をもとに推計 ※国内USCについては、最新鋭の発電技術の商用化及び開発状況(BATの参考表)をもとに算出 ※海外については、「CO2 Emissions from Fuel Combustion 2016」をもとに算出       経済産業省資源エネルギー庁HPより

国連気候変動枠組条約締約国会議(通称COP)

1992年、国連で、地球規模の気候変動問題に国際社会が一丸となって取り組むため、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)が採択さました。
そして、1995年から毎年、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)が開催されています。
COPでは、気候変動対策や適応、先進国から途上国への支援等について協議が行われています。
1997年には京都でCOP3が開かれ、先進国の2020年までの温室効果ガスの削減目標を決めた京都議定書が締結されました。
2015年パリで開催されたCOP21で、京都議定書の後継となる新たな国際的な枠組み「パリ協定」が採択され、2016年に発効しました。

2020年以降の気候変動問題に関する国際的な枠組み「パリ協定」では、
長期目標として「2℃目標(気温の上昇を2℃より低く保つこと)」が設定され、
今世紀後半にはCO2の排出量と吸収量をバランスさせることが定められました。
そこで、世界では、「低炭素化」を
さらに推しすすめた「脱炭素化」の動きが広がりつつあります。

まとめ エネルギーの安全保障か環境対策を最優先と考えるかが問題です。

日本は、国内資源に乏しく、エネルギー資源のほとんどを海外に依存しています。
資源をもたない日本にとっては、エネルギーの安定供給は最重要事項です。
エネルギーの供給については、どこの国でも重要事項でしょうが、・・・。

しかし、また一方で、エネルギーの環境への影響を追求することは世界的な課題です。

世界共通の課題である環境対策は、日本も脱炭素社会の実現に向けて努力しなくてはなりません。

エネルギーの安全保障と環境対策のその両立を図るため、
日本は、石油のように供給が不安定になるエネルギー源ではなく、安定供給な可能な石炭に注目し、
環境対策のための技術革新を進めてきました。

もちろん、同時に石炭だけでなく、比較的クリーンエネルギーと言われている天然ガス火力発電所の建設も石炭と同程度に進めています。

しかし、化石燃料はどうしても、CO2を排出します。

ここで登場するのが、再生可能エネルギーの利用です。
世界に誇る日本の技術力を再生可能エネルギーの利用にもっと注ぐべきだと思うのです。

国内資源に乏しい日本のエネルギー源の供給のうち、石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料が8割以上を占めています。
そしてそのほとんどを海外に依存しています。

特に東日本大震災後、エネルギー自給率は10%を下回っていて、エネルギー安定供給の観点から、この改善を図っていくことが重要な課題です。

太陽光・風力・地熱・水力・バイオマスといった再生可能エネルギーは、
温室効果ガスを排出せず、
国内で生産できることから、
エネルギー安全保障にも寄与できる有望かつ多様で、
重要な脱炭素の国産エネルギー源です。

しかし、まだまだエネルギー・コストの課題、制度の課題、長期的に安定した電源となるか、発電される地域と消費される地域を結ぶ電力系統のさまざまな課題など、困難な課題が山積しています。

日本は、2017年度現在、電源構成に占める再生可能エネルギー比率は約16%です。
利用がある程度進んでいるドイツやイギリスといった諸外国と比べるとかなり遅れています。

今できることという意味で石炭火力の技術革新も大事です。
しかし、地球温暖化を止めるエネルギー源にかかわる根本的な解決を図るという意味では、
再生可能エネルギーの利用促進が有効です。

地球的規模の環境対策の必要性から言えば、早急に、日本の英知を結集して、再生可能エネルギーの課題に対して一つ一つ着実に取り組み、再生可能エネルギーの主力電源化へ向けて、着実な歩みを進めいってもらいたいものです。

 

最後までご覧いただきありがとうございました。

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