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お内裏様(おだいりさま)とお雛様(おひなさま)は間違い?お雛様とお内裏様の本当の関係は!

「お内裏様(おだいりさま)」と聞くと、雛飾りの上段に飾られる男性の雛人形を思い浮かべる方が多いかもしれませんね。
でもね、実はそれ、ちょっと違うんです。
実は「お内裏様」という表現自体が誤りだったりするんですよ。

こちらの記事では、雛飾りに関する基本的な知識をベースにしながら、お雛様とお内裏様の関係、お内裏様の本当の意味について詳しくまとめてみました。

雛飾りって

そもそも雛飾りの意味とは?
雛飾りの深い意味を紐解く前に、まずは雛飾りが象徴するものについて基本的な知識を確認してみましょう。

雛飾りは実は、「天皇の結婚式」をイメージしたものなんです。
具体的には、男雛と女雛が主役として登場し、これは天皇陛下と皇后陛下を表しています。
この飾りには、天皇皇后のような幸せな結婚を願う気持ちが込められています。
また、雛人形には人間の厄を引き受けるという役割もあって、お子さまの健やかな成長を祈る気持ちで飾ることが一般的です。

雛飾りには男雛と女雛の人形だけを飾る「親王飾」以外にも、「五人飾」や「十人飾」など、様々な種類があります。
段数が複数ある場合、1936年(昭和11年)にリリースされ、サトウハチローさんが作詞し、河村光陽さんが作曲した童謡の『うれしいひなまつり』でお馴染みの三人官女や五人囃子(ばやし)なども登場します。
これらは実際に存在した役職で、三人官女は天皇皇后をサポートし、五人囃子は楽器の演奏によって結婚式を盛り上げるお仕事を担当していました。

ちなみに、歌詞に登場する「右大臣」は「左大臣」と対になり、弓や刀を持つ人形です。
ただし、実際の「右大臣・左大臣」は相当な位の高い役職だったため、護衛道具を持つことは考えられませんでした。
天皇皇后を護衛する役職は正確には「随身」と呼ばれていました。

「お内裏様」とは誰?

「お内裏様」とは一体誰のことなのでしょうか?
童謡『うれしいひなまつり』の歌詞には、「お内裏様とお雛様 二人並んですまし顔」という部分があり、「お内裏様=雛飾りの上段に飾られる男性の雛人形」という理解を広めた原因とされています。
しかし、この歌の影響は非常に大きく、結果として「おだいり様」という呼び名が一般的になりました。

しかし、実際には「内裏(だいり)」は天皇が儀式や執務などを行う私的なエリアの名称で、現代でいうところの皇居の古い呼び名です。
「内裏」の中には元服や立太子の儀式が行われていた紫宸殿(ししんでん)という場所があります。
雛人形はこの紫宸殿で行われた天皇と皇后の結婚の儀をベースにしており、お内裏様とはひとりではなく、お殿様とお姫様のふたりが正しい表現です。

だから、「お内裏様」という表現は正確には「天皇皇后(男雛と女雛)両方を指す」と理解するのが適切です。

ちなみに、歌に登場する「お雛様」は上段に飾られる女性の雛人形を指していると思われがちですが、実際には雛飾りの人形全体を指す総称なので、覚えておくと良いでしょう。

ただし、違う説もあります。

江戸時代において、「Dairi」という言葉がルイス・フロイスの「日本史」で天皇を指す言葉として使われていたように、同時期には「内裏」という言葉が天皇や皇族に対する呼び名として使用されていたことが確認されています。
ただし、「内裏」が単独で天皇を指す言葉として使用されていたのか、あるいは皇后や皇太子を含む総称として使われていたのかについては、正確な情報は得られていません。

お内裏様(男雛・女雛)の持ち物

お内裏様(男雛・女雛)の特徴を見ていくと、持ち物が独自の格式を持っています。
お内裏様の本当の意味を理解したら、ぜひお人形に施された装飾に注目してみましょう。
これは天皇と皇后を模したお内裏様のお人形に特有のもので、平安貴族の優雅な持ち物が取り入れられています。

【男雛の持ち物】
・笏(しゃく)

男雛が右手に持つ、細長い板のようなもの。
束帯を身に着けた時に、儀式での威儀を整えるための重要なアイテムです。
この板の裏側には、儀式の手順や発言内容などを書き留めるためのメモが貼られていたとされています。
・纓(えい)
男雛の冠の後ろに飾られる、薄い羽根状の付属品。
これは随身の冠に付けられるものとは異なり、天皇だけが身につける特別な纓を指します。
「立纓(りゅうえい)」とも呼ばれます。
・飾剣(かざたち)
儀式用に身につける剣で、左側の腰に挿します。
刃はなく、内部には珠などの飾りが施されたものもあります。

【女雛の持ち物】
・桧扇(ひおうぎ)

桧(ひのき)の薄い板でできた扇子。
男雛の笏と同じく、重要な情報を記したメモを挟んで使用されていたと言われています。
・釵子(さいし)
女雛の髪飾りとして使われる金属板でできたティアラ。
平安時代には、この釵子を紫の紐と3本の簪(かんざし)で留め、額櫛(ひたいぐし)を付けて髪を後ろに流すヘアスタイルが貴族女性の間で一般的でした。
この金属の飾りは業界では「玉串」とも呼ばれます。

右大臣?

ちなみに、「うれしいひなまつり」の歌詞には、「赤いお顔の右大臣」というフレーズがありますが、これには興味深い解釈があります。

左近衛中将(さこのえちゅうじょう)
通常、右大臣や左大臣は公卿の肩書きです。公卿は武官束帯を身に着けないため、歌詞の中での右大臣は実際には「左近衛中将」(さこのえちゅうじょう)という正式名称ではないかと言われています。
※雛人形では、一般的には「随身(ずいじん)」と呼ばれているようです。
左右の違い
お雛様における左右は、お殿様から見ての左右の位置を指します。そのため、歌詞の中での「左右逆転現象」が生じた可能性があります。
例えば、京都市の左京区と右京区を地図で確認すると、右側に左京区があり、左側に右京区が位置しています。
これは平安京の内裏から天皇が見た(政務を行った)視点から東が左であり、西が右であるという歴史的な背景が反映されています。
同様に、「左近の桜と右近の橘」も建物の内部から「天皇が見た」視点に基づいています。

まとめ

おだいり様は実際はお内裏様を指し、内裏は住まいの場所を示す言葉です。
したがって、お内裏様は親王・内親王の両方を指す言葉であるとされています。
これを現代に例えると、天皇皇后両陛下が御内裏様に該当することになります。

よく知られた『うれしいひなまつり』の歌詞には、「♪おだいり様とおひな様~♪」という部分があり、この歌が男雛=おだいり様という理解を広めた原因とされています。

ただし、「内裏」が単独で天皇を指す言葉として使用されていたという可能性もあり、さらには、『うれしいひなまつり』の歌詞が広く受け入れられていることから、男雛=おだいり様でもいいのではないかと思います。
みなさんはどうでしょうか?

最後までご覧いただきありがとうございました。

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