魚の中には大きく成長するにつれてその呼び方が変わっていくものがいます。
ブリも、成長につれて名前が変わる「出世魚」です。
ブリといえば、脂がのったブリの照り焼きやブリ大根が美味しいですね。
赤ちゃんにブリはいつ頃からたべさせて大丈夫なのでしょうか?
アレルギーが出たりしないでしょうか?
そもそも離乳食には向いているのでしょか?
この記事では、離乳食でブリを取り入れる開始時期の目安や注意することなどをわかりやすくまとめています。
ブリは離乳食後期からOK?
ブリを赤ちゃんは離乳食でいつから食べていいのでしょか?
ブリは離乳食初期・中期には不向きな食材です。
ブリは生後9~10ヶ月頃の離乳食後期から始めます。
ぶりは『青魚』に分類されるので、白身魚やカツオやマグロなどの赤身魚を食べてからえる方が良いとされています。
ブリは赤身の魚で、青い背を持ついわゆる「青魚」です。
青魚と呼ばれる魚は、白身魚よりも脂質が多く含まれています。
脂質が多い魚は加熱すると固くなってしまうので、ある程度の固さの食材が食べられるようになる離乳食の後期(生後9~10ヶ月頃)を目安に食べ始めましょう。
また、脂が多くついている箇所は避けるか、さっと茹でてから使用しましょう。
ブリは、白身魚よりも筋肉量が多いので加熱すると身がかたくなってしまいます。
また、魚の中では味が濃く脂ものっているので離乳食後期からであれば食べられますのでそれまでは控えましょう。
離乳食初期
初期は、まだブリを食べることができません。
離乳食を初めて間もないので、母乳、ミルク以外のものに慣れていく時期です。
十分におかゆや野菜に慣れてきたら、しらすややわらかい白身魚(かれいやたいなど)のすりつぶしから始めます。
どの食材も、はじめて口にするものはひとさじから、万が一のとき病院のあいている平日の午前中にあげましょう。
離乳食中期
中期も、ブリはまだ食べられません。
しらすや白身魚が問題なく食べられていたら、形態を少しずつ粗くしながら、鮭やまぐろの赤身、かじきなどを試してみましょう。
使う魚は、なるべく脂の少ない部位を選びます。
パサつくときはとろみをつけてあげましょう。
離乳食後期
後期になると、ブリやサバ、アジなどの青魚も試せるようになります。
小骨がないか注意して、しっかり火を通します。
お刺身用を利用するのが手軽で扱いやすく、おすすめです。
こちらも、パサついていたらとろみをつけてあげましょう。
手づかみをはじめていれば、コロコロやスティック状にしたものでも良いでしょう。
ブリを離乳食に使う時には必ずしっかりと火を通して、食べやすい大きさにしてから与えます。
そのままでは食べづらい時には、水分を加えて加熱して片栗粉でとろみをつけて与えると良いと思います。
ブリのアレルギーに注意
離乳食でブリをあげるときアレルギーは?
ブリは、最もアレルギーが起こりやすいとされている27品目(そのうち魚介類は7品目)には含まれていません。(参照:消費者庁 アレルギー表示についてより)
(アレルゲン表示を義務付けられる「特定原材料」と表示を推奨されている「特定原材料に準ずるもの」にぶりは含まれていません。)
ただし、どんな食材でもアレルギーが100%大丈夫というわけではなく、魚介類アレルギーという形での注意は必要です。
ブリは比較的アレルギーになりにくい食材ですが、まれにアレルギー反応が出ることがあるので、初めて食べる時には魚介類のアレルギーに注意が必要です。
アレルギーの症状としては、『口腔アレルギー症候群』といって、食べた直後に口のまわりや舌、唇が赤く腫れたりする場合があります。
口や口のまわりが赤くなる、
腫れる、かゆくなる
湿疹、手足、身体のじんましん
目のかゆみや充血
鼻水
喉の痛みや腫れ
喘息
下痢、嘔吐
喉の腫れ
などの症状が出たりするようです。
中には「花粉症」や「食中毒」に類似する症状が出る場合もあります。
念のため食後1時間くらいは赤ちゃんの口周りや、お腹の調子に変化が無いかチェックしておきましょう。
食後にいつもと違う様子があればアレルギーの可能性があるので、心配な場合にはすぐに病院に行くようにしてください。
はじめて食べるときに注意すること
はじめて食べるときは新鮮なものを選びよく加熱し、アレルギー反応によって重篤な症状が起こらないように少量、ひとさじから与えましょう。
ブリだけでなく初めての食品を赤ちゃんに試すのは「平日の午前中が良い」といわれています。
それは、もし重大なアレルギー反応などが出た場合すぐに病院に駆け込めるからです。
これが土日祝日の夕方以降でしたら、診てもらえる病院を探すのが大変になります。
気になる方には小児科やアレルギー科で、パッチテスト(採血不要)などの検査をしてもらうことをおススメします。
もしも、ブリで赤ちゃんに何らかのアレルギー反応が出た場合には、
サバ
サケ(鮭)
イクラ
カニ
エビ
イカ
アワビ
などの魚介類でも同様のアレルギーが出る可能性があるため、食べさせる際には注意が必要です。
ヒスタミン食中毒にも注意
アレルギーも心配ですが、それ以上に注意したいのが、アレルギーではありませんがブリやサバなどに事例のあるヒスタミンによる食中毒です。
青魚は、アミノ酸の一種「ヒスチジン」が白身魚より多く含まれます。
このヒスチジンを多く含む食品は、常温に放置する等の不適切な管理をすることで、食品中のヒスタミン産生菌が増殖し、ヒスタミン産生菌の酵素が作用し、ヒスチジンがヒスタミンに変換されます。
ヒスタミンは、食べると口の周りの赤み、頭痛、発熱、じんましん、下痢などアレルギー反応に似た症状を起こします。
これは本当のアレルギーではなく、ヒスタミン中毒などと言われる仮性アレルギーです。
ヒスタミンは熱に安定であり、また調理加工工程で除去できないため、一度生成されると食中毒を防ぐことはできません。
予防のためにも、常温で長く放置したり長期間にわたる冷蔵保存はしないようにし、新鮮なブリを選ぶことや保管が大切です。
ブリのどの部分を食べさせる?離乳食には背の部分を
ぶりを食べさせる場合は、身の部分によく火を通してからにしましょう。
骨や皮は固くて噛みきれないので、必ず取り除いてください。
そして、赤ちゃんには、脂肪分が多い部分を避けたいので、ブリの腹の部分は使用せず、背の部分を使って調理しましょう。
脂がのったブリはおいしいのですが、身が白く脂の多いものは、赤ちゃんにとっては脂っこくて、赤ちゃんの未熟な体に負担をかけてしまい離乳食には向かないので気をつけてください。
切り身や刺身を買う時には気をつけましょう。
離乳食におすすめのブリは?
しかしブリの身は加熱しすぎると固くなってしまうのが難点です。
加熱し過ぎると調理しづらくなるだけでなく、舌触りがボソボソしてしまうので赤ちゃんも食べにくくなってしまいます。
そんな時は薄く切られたお刺身を利用しましょう。
火が通りやすくて骨を取り除かなくてもいいので使いやすいです。
また、離乳食でブリを使うときには、鮮度が大切です。
1番良いのは、お刺身のブリです。
新鮮です。
新鮮なブリは、
血合いが鮮やかな赤色
身は透明感があるピンク色
切り口に張りがあります。
逆に血合いが黒っぽくなっているものや、張りがなく水分が出ているものは鮮度が落ちているので避けましょう。
ブリの1回あたりの目安量は?
離乳食のぶりの量の目安は?食べさせる量は?
それぞれの時期で魚を食べさせる量の目安は、
離乳食後期
15g(お刺身大きめを1切れくらい)程度
離乳食完了期
15~20g(お刺身大きめを1切れと半分くらい)程度
です。
ただ、それだけ食べさせなくてはいけないわけではなく、赤ちゃんの様子にあわせて量を調節していきましょう。
また、ぶりを離乳食に取り入れるときには、他に豆腐、卵、乳製品、肉などが入っていれば、ブリの量を少なくして調整するなど、たんぱく質の食べ物として栄養バランスを考えて使ってください。
ブリの血合いの部分は大丈夫?血合いの部分は使う?
ブリの身の皮の近くにある赤茶色の部分を「血合い」といいます。
この血合いの部分は、赤ちゃんも食べて大丈夫です。
この血合いには鉄分などミネラルやビタミンがたくさん含まれているので、赤ちゃんの貧血予防や不足しがちな栄養を補うのにはピッタリといえます。
ただし、赤ちゃんにとっては身の部分と違い血合いは苦味が強く感じられ、少しクセや臭みがあるので食べづらい事もあり食べたがらない赤ちゃんもいます。
使用する量を少なくしたり、他の食材に混ぜたりして食べやすく工夫するといいですね。
嫌がる場合には、無理をして与えずに様子を見ながら少しずつ身に混ぜてみましょう。
ブリを生で食べさせるのはどうなの?
「お刺身」や「お寿司」などの生のブリはどうでしょう。
赤ちゃんの消化器官の胃や腸は大人と比べてまだまだ弱く、消化能力的にも生魚は控えた方が良いです。
なるべく3歳以降で本人が嫌がらなければ少しずつ与えてみるのも良いでしょう。
新鮮な魚をお刺身やお寿司で食べるのは美味しいのですが、食べるのに適した年齢になってからにしておきましょう。
消化能力だけでなく噛む力や、食中毒に対する抵抗力や体力の課題もあります。
詳しくはこの記事で
栄養が豊富なブリは離乳食に取り入れたい食材
ブリはどんな魚?
ブリは大きさによって名称が変わる出世魚(しゅっせうお)です。
地域によって「ハマチ」「ツバス」「ワラサ」など名前を変え、体長が80㎝を超えると最終的に「ブリ」となる日本人にとってなじみの深い魚です。
関東地方では成長するにつれて「ワカシ」→「イナダ」→「ワラサ」→「ブリ」、
関西地方では「ワカナ」→「ツバス」→「ハマチ」→「メジロ」→「ブリ」
と4,5回名を変えます。
一般的に「ブリ」は天然魚と養殖魚を含む総称、「ハマチ」は養殖魚の意味で区別されることが多いそうが、「ハマチ」の知名度が上がり、回転寿司などでは、近年では大きさにかかわらず養殖ものの「ブリ」を「ハマチ」と呼ぶ場合が多いそうです。
ちなみに、「ブリ」や「ハマチ」に似た「カンパチ」は、別の魚になります。
旬はいつ?
ブリは養殖ものを含め1年中出回っている魚ですが、旬は11月から2月にかけた冬の寒い時期です。
この時期のブリは「寒ブリ」と呼ばれ、脂がのって特においしいです。
ブリってどんな栄養があるの?
ブリは、青魚の中でも特に栄養面が優れていると言われています。
良質なたんぱく質をはじめ、脂肪、ビタミンなどの栄養成分やミネラル分をバランスよく含んでいるからです。
まず、ブリには良質なたんぱく質がたっぷり含まれています。
たんぱく質は健康な臓器や筋肉や血液を作るうえで欠かせない栄養です。
また、ブリは脂がたっぷりで、魚の中では群を抜く濃厚な味わいですが、その脂には、DHA、EPAなどの不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。
DHAは脳の成長を助ける働きが、EPAには血管をサラサラにする効果があるとされ、赤ちゃんの脳の発育に役立つ成分と言われています。
他にも、ビタミンA、ビタミンDやビタミンE、ビタミンB6、ビタミンB12などの栄養成分やカリウムやリンといったミネラル分が含まれています。
離乳食の時期に応じて、うまく取り入れていきたいですね。
ブリの主な栄養成分としては、
ビタミンB1、B2、B6、B12
ビタミンD
ビタミンE
パントテン酸
ビオチン
ナイアシン
などが豊富に含まれています。
このブリに含まれるビタミン類は、野菜などから摂取されにくいものが多いのです。
ビタミンDは骨形成に必要でカルシウムの吸収を助け、
ナイアシンは血行を促進するようです。
それに加えて
カリウム
マグネシウム
鉄分
ヨウ素
セレン
といった健康に役立つミネラルも豊富です。
ただし、「栄養が豊富だから」と大量に食べればそれで良いという訳ではありません。
どんなに健康に良いと言われる食材でも、限度を超えれば消化不良で下痢を引き起こしたりします。
お米や野菜、肉類などと組み合わせてバランスの取れた食事が、赤ちゃんの健康に繋がっていきます。
離乳食のオススメの3冊です。
まとめ
優れた栄養面と調理が比較的簡単な点からも、ブリは離乳食向きであると言えます。
赤ちゃんにブリは、生後9~10ヶ月の離乳食後期頃から始めます。
煮たり焼いたりなど十分に加熱調理して、小骨と皮はしっかり取り除き、
はじめは少量から様子をみましょう。
また、食後のアレルギーにも注意が必要です。
最後までご覧いただきありがとうございました。