あさりっておいしいですよね。口のなかに広がる美味しさ。
でも、「ジャリッ」とくるととたんに幻滅します。
砂です。
こんな思いをしないためにも、あさりの「砂抜き」は非常に大事です。
この記事では、あさりの失敗しない「砂抜き」の方法と、それに続く「塩抜き」についてまとめています。
おいしいあさりをいただくために是非参考にしてください。
あさりの砂抜きと砂抜き後の塩抜き
「あさりの砂抜き」はよく聞きますね。「あさりの塩抜き」はどうですか?
「砂抜き」は、あさりの砂を吐かせることです。
「塩抜き」は、砂抜きをしたあとのあさりから塩分を抜くことです。
砂はあさりを食べるのにすごく邪魔ですが、塩抜きをしなくてもあさりは食べることができます。
でも、あさりが体内に海水(塩水)を含んでいるため、塩気が強くなります。
あさりをよりおいしくいただくためには、「塩抜き」もしましょう。
ちなみに、スーパーで買ったあさりでも砂抜きが不十分なこともあるので、スーパーで買ってきたあさりも、砂抜きをしたほうがよいです。
あさりの砂抜きの失敗しない仕方
1 あさりを流水でこすり洗いをする
砂抜きをする前に、あさりをザルにあけて水道水で洗います。
あさりの貝殻の表面についている汚れや腸炎ビブリオ菌などの雑菌を取り除くためです。
あさりを両手で挟み、こすり合わせるようにして流水で洗います。
潮干狩りをした所で一度洗っている場合でも、洗い残した雑菌がついていたりいます。
家に持って帰るまでに少し時間がたてば雑菌が繁殖していることもあります。
スーパーで購入したあさりはそれほど汚れていないので、さっと洗えば大丈夫です。
また、ゴリゴリ擦って洗うことで、死んだあさりを判別することもできます。
潮干狩りで獲ったものは、「中身が空」であったり「中身が全部砂」ということもあるので、あさりの口を観察しながらよく洗いましょう。
あさりを洗う場合、台所では洗わないことが重要です。
理由は、食中毒を防ぐためです。
あさりなどの貝類には付着している腸炎ビブリオ菌は繁殖力が高く、2時間もすると爆発的に増える菌だそうです。
台所であさりを洗うと、腸炎ビブリオ菌が水滴とともに飛び散って調理器具などの付着することが考えられます。
あさりを洗うのは、風呂場か屋外にしましょう。
2 砂抜き用の海水または塩水を用意する
あさりの砂抜きは、あさりに呼吸をしてもらう必要があります。
そのために海水(塩水)が必要です。
あさりを海水(塩水)に浸して数時間放置して砂を吐かせます。
あさりの住む海水と同じくらいの塩分濃度3〜3.5%の塩水を用意します。
目安としては、500mlの水に対し、塩が大さじ1杯の割合です。
なめてみて、ちょっとしょっぱいと感じるくらいです。
水道水を使う場合は、カルキ抜きしたものが理想的です。
水道水は、一度沸騰させて常温まで冷ますか、容器に汲み1〜3時間置いてカルキを抜きます。
一番いいのは、そのあさりが住んでいた海岸の海水を持って帰って使うのがいいです。
あさりが安心して呼吸し、砂を吐き出してくれます。
潮干狩りでは、その海岸に砂抜き用の海水が用意されていることもあります。
3 あさりを砂抜き用の容器に並べる
網つきのバット(水切りかごでもOK)などの底が平らな容器を用意します。
その容器に、洗ったあさりをできるだけ重ならないように平らに並ます。
あさりの下に網やすのこがあると、あさりが吐き出した砂や汚れが下に落ち、あさりがもう一度砂を吸い込んでしまうことがありません。
容器はこんな容器がいいです。
4 あさりの貝殻の表面が少し出るよう塩水を注ぐ
あさりを並べた容器に、あさりの貝殻の表面が少し出るくらいにひたひたに塩水を入れます。
塩水が多すぎないほうが、あさりがよく砂を吐き出します。
塩水が多すぎてあさりが深く沈んでいると、呼吸と砂出しをする管を空気中に出せなくなり、あさりが酸欠になり死んでしまいます。
5 容器の上を新聞紙等で覆って暗くします。
容器の上を新聞紙やアルミ等で覆って暗くし、砂を吐かせます。
容器を覆うのは、
一つは、暗い方が、あさりが住んでいた砂の中の状態を再現することになり、あさりがリラックスでき砂を吐きやすいからです。
もう一つは、あさりが水管から吐き出した水が勢いよく飛び出ることもあるので水が周囲に飛び散らないようにするためです。
また、強い光や振動に驚くとそのたびにあさりは貝殻を閉ざしてしまうので、砂抜きが不十分になります。
できるだけ静かな場所に放置するのがよいです。
砂抜きにかかる時間は、潮干狩りで獲ったものなら4時間〜半日、3~4時間でも砂抜きはできますが、確実に砂が抜けるのは6時間くらいはかかるようです。
スーパーや鮮魚店で購入したものは1〜4時間、「砂抜き済み」と書いてある商品は30分〜1時間が目安です。
急がないことがおいしさの秘訣ですとの意見もあります。
あさりがもっとも活発になる温度は20℃といわれています。
冷蔵庫に入れると冷たすぎて、あさりが砂を吐きません。
基本的には砂抜き中に冷蔵庫に入れるのはダメです!
逆に、夏場は気温が高いので、涼しい場所におくか、ときどき冷蔵庫に入れるなどして、水温が20℃になるよう調整してください。
砂抜きできたか確認は、容器の底に砂が落ちていれば、確実に砂抜きはできています。また途中でかぶせた新聞紙やアルミホイルをめくってみて、あさりの水管が出ていれば、砂出ししている証拠です。
あさりは元気なものほど、盛んに砂を吐きます。
鮮度のいい元気なあさりは1時間もすれば砂を吐いていますが、1時間たっても砂が抜けないあさりは、鮮度がよくない可能性があります。
鮮度の悪いあさりは、長時間塩水につけても、砂が抜けることはありません。
6 塩水を捨て、流水であさり同士を擦り合わせながらよく洗い、表面のぬめりを取る。
砂抜きが終わると、塩水を捨て、も一度、流水であさり同士を擦り合わせながらよく洗い、表面のぬめりを取ります
この時、あさりの口が開いたまま閉じないものや、貝殻が割れているものは傷んでいる可能性が高いので取り除きましょう。
あさりの砂抜きで放置しすぎた
砂抜きをしようと思って、そのまま長時間放置してしまった場合、あさりが生きていれば食べても大丈夫です。
中には貝殻を開けたまま死んでいるあさりがいるかもしれませんが、容器をゆすってみて貝殻を固く閉じるあさりは生きています。
死んだあさりをとり、新しく作った塩水に生きているあさりを入れ替え、新聞紙などで覆っておくと、3時間程度で管を出すと思います。
でも、異臭がしていたり、生きているものが少ない場合は、すべて処分しましょう。
とくに水道水で作った塩水でなく、海水につけていたものは雑菌が繁殖している場合もあります。
あやしいのは避けたほうが無難です。
砂抜き後、塩抜き
「塩抜き」という言葉は聞きなれないかもしれませんが、これは、あさりが貝殻の中にためている塩分を取り除くことをいいます。
あさりの中の塩分が強すぎると料理が塩辛くなるので、塩抜きすることは、あさりを美味しくいただくうえで大切になります。
砂抜きで洗ったあさりの水気を切り、再びバットなどの容器に並べます。
その上にあさりの乾燥を防ぐために濡れたキッチンペーパーや布巾をかけて1時間ほど放置します。
その間にもあさりは生きています。
呼吸をする時に貝殻内の塩水を吐き出すと言われています。
そしてこの工程で酸欠状態になったあさりが体内でコハク酸を生成し、旨味が増すそうです。
裏技!時短。あさりの砂抜きを短時間にする。5分でできる!?
あさりの砂抜きは、通常は水でするのですが、50℃のお湯を使うことで何時間もかかっていた砂抜きが“5分”でできてしまいます。
お湯の温度が、50℃という温度であれば、あさりが死なずに砂を吐くそうです。
ただしそれ以上熱すぎるとあさりが死んでしまい食べられなくなるので注意してください。
- ボウルに約50℃のお湯を用意する。
ボウルに水と沸騰したお湯を混ぜて50℃のお湯を準備します。
お湯の温度が下がりすぎないように、事前にボウルに熱したお湯を入れておくなど、ボウルを温めておきましょう。
塩は不要です。 - 50℃のお湯にあさりを入れる。
ボウルのお湯にあさりを投入します。 - お湯の中であさりを擦り合わせる。
少し待って、あさりが口を開けたらお湯の中で貝殻どうしをゴリゴリと擦り合わせながら洗います。
やけどに注意してください。
この段階で砂や汚れが吐き出されお湯が濁ります。汚れがひどい場合は一度お湯を取り替えるとよいでしょう。 - お湯からあさりを取り出し、流水できれいにすすぐ。
完了です。
ただしこうして「熱めのお湯で貝を驚かせ、強制的に砂を吐かせる」やり方は、あさりに一度熱を加えているため傷みやすいので、長い時間置いておくのは禁物です。このやり方で砂抜きしたあさりは、必ずその日のうちに調理し、食べましょう。
潮干狩りで獲ったあさりは、通常の水を使う手順で丁寧に砂抜きした方がいいと思いますが、「帰りにスーパーや鮮魚店で購入したものを、今日の夕食で食べたい」というときにはこの方法を試してください。
あさりを選ぶときのポイント
あさりを選ぶときのポイントです。
- 黒っぽくツヤがあって模様がハッキリしているもの
できる限り黒っぽくツヤがあって「模様」がはっきりしているものがよい。
茶色みがかっているものなどは鮮度が低い。 - 口がしっかりと閉じているもの
口がしっかり閉じているもので、塩水に入れると水管を出しているものが生きている証拠で新鮮なものです。 - 甲高で厚みのあるもの
あさりを横から見て甲高で厚みがあるものは、身が大きくプリプリとした食べ応えがあります。 - 水管がすばやく動くもの
パックに入っている場合は軽く揺らしてみて、水管がすばやく動くかチェックします。
泡がたくさん出れば、元気な貝がたくさん入っている証拠です。 - 剥き身のあさりは身にハリや弾力があるもの
剥き身のあさりを買うときは、粘り気が少ないものや身にハリ・弾力があるものを選びましょう。
あさりの保存方法
冷蔵保存
2〜3日以内に食べるなら冷蔵保存します。
砂抜きを済ませたあさりを、湿らせた新聞紙やキッチンペーパーに包み、さらに食品保存袋やビニール袋に入れ、冷蔵庫で保存します。
もしくは再度、あさりの貝殻の表面が少し空気に触れるくらいの高さまで3%濃度の塩水に浸し、新聞紙や数カ所穴を開けたラップでフタをして冷蔵庫で保存する方法もあります。
冷蔵保存でも、2〜3日はあさりを生きたまま保存できますが、どうしても身が痩せてくるので、できるだけ早く食べることをオススメします。
冷凍保存
すぐに食べないならすぐに冷凍がオススメです。
塩抜きまで済ませたあさりを、冷凍用の食品保存袋に入れ、なるべく空気を抜いてから口を閉じ、冷凍庫へいれましょう。
後々必要な分だけを取り出しできるように、量にもよりますが1食分ずつラップで小分けにしてから袋に入れるか、冷凍庫に入れて1〜2時間後に袋の上から軽く揉むようにしてあさりをバラバラにしておきましょう。
冷凍すると1カ月程度は保存可能です。
まとめ
あさりっておいしいですよね。そのあさりをおいしくいただくために砂抜きは大切です。
あさりの砂抜きの失敗しない方法は、
1 あさりを流水でこすり洗いをする
2 砂抜き用の海水または塩水を用意します。
3 あさりを砂抜き用の容器に並べる
4 あさりの貝殻の表面が少し出るよう塩水を注ぎます。
5 容器の上を新聞紙等で覆って暗くし、砂を吐かせます。
6 塩水を捨て、流水であさり同士を擦り合わせながらよく洗い、表面のぬめりを取ります。
7 塩抜きします。
裏技としてお湯であさりを砂抜きする方法もありますが、正しい方法であさりを砂抜き、塩抜きして美味しくあさりをいただきましょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。